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判例からみる「著しく低い価額とは」

判例からみる「著しく低い価額とは」

低額譲渡について、判決例を掲載します。

判例1.土地は相続税評価を基本に、土地建物は一体として評価という事例(平15.6.19裁決 裁事65・576)

事例の概要
Aは平成12年12月4日に祖母との間で、土地建物を7,195万円(土地5,200万円、建物1,995万円)で売買しました。
売買価格は不動産業者から相場を聞き、固定資産税評価額を参考に決めました。
課税庁は、土地について平成13年10月、公示価格を基にした時価との差額が相続税法7条の低額譲渡に該当するとして贈与税を課税しました。なお、建物については不問です。
建物はアパートであり、取得価格は6,300万円、売却時点の未償却残高は2,500万円である。また固定資産税評価額は1,983万円でした。
Aは決定処分の取り消しをもとめ、土地について売却時点の不動産鑑定士による不動産鑑定評価書5,200万円を取得し、裁判を行いました。
Aの主張
土地については、不動産業者に相場を聞き、不動産鑑定評価額と同額であることから適正な時価である。
時価の概念は、公示価格だけでなく、その取引に応じて、相続税評価額、売買実例額および不動産鑑定士による不動産鑑定評価額等様々な尺度があり、課税庁の主張は公示価格という一般論のみであり、取引や土地の個別性を考慮していない。
課税庁のいうとおり公示価格で時価を判断するとしても、時価に対して15.84%を「著しく低い価額」とは言えないのではないか
課税庁の主張
鑑定評価書は土地の比準価格の格差修正の根拠等が不十分であり、時価とは言えない。
公示価格は、一般の取引の指標となるものであり、不動産鑑定士の不動産鑑定評価、公共用地の買収の基準になるものであり、客観的な交換価値を示している。
公示価格を基に貸家建付地としての利用状況を考慮して算出すると、6,553万円となり、本件取引5,200万円との差額は1,353万円である
結論

本件は相続税評価額を上回っており「著しく低い価額の対価」に当たらない。

判断理由

・時価の判断について「相続税評価額」という指標をどのようにとらえるか

時価とは客観的な交換価値を示す価額であり、個別に評価すると、評価方法等により異なる評価額が生じる。
しかし、個別に評価すると課税庁の事務負担が重くなり、課税事務の処理が困難となるおそれがある。
このため課税実務上は、財産評価の一般基準が財産評価基本通達により定められ、画一的な財産評価が行われている。

・土地建物一括譲渡の場合の時価とは

低額譲渡にあたるかは、事情、対価、市場価格、相続税評価等を総合的に勘案して決めるべきである
土地建物の譲渡があった場合個々の財産で評価すべきではなく、一括して評価すべきである。総額で判断すれば今回の取引は低額譲渡にあたらない。
追記
低額譲渡の判断は土地の場合は路線価を基本にした相続税評価で足りるとの見解を示している。
土地建物一括譲渡の場合には土地は土地、建物は建物として、分けて時価を考えるようなことはしないという見解を示している

判例1の不動産の時価

主体 課税庁 審判所
根拠 売買代金 公示価格ベース 相続税評価額
本件土地 5,200万円 6,553万円 5,535万円
本件建物 1,995万円 (不問) 1,388万円
合計 7,195万円 - 6,923万円
売買代金との差額 - +1,353万円 -272万円

判例2.相続税評価額の2分の1は低額譲渡、その判断基準は(横浜地判昭57・7・28税資127・494)

事例の概要
Cは昭和51年義兄からA土地456平米を500万円で、実兄からA土地隣接のB土地489平米を700万円で購入しました。
課税庁は、いずれも相続税法7条の低額譲渡に該当するとして贈与税を課税しました。
Bは決定処分の取り消しをもとめ裁判を行いました。
Cの主張
所得税法169条からすると著しく低い価格とは相続税評価額の2分の1を下回る価格をいい、今回の売買価格は2分の1を超える。
上記考えに基づき実兄や義兄に所得税がかからないようにし、自分も安く買うことは通常の行為であり、問題がないと思われる。
課税庁の主張
著しく低い価格は実勢価格に加えて、譲受の事情、相続税評価額と譲受価格との差額、社会通念に従い判断すべきである。
A土地は道路に面しており固定資産税評価額に1.5倍を掛けた1287万円、B土地はA土地の奥の土地(道路に接道していない)であるが、隣接しており、もとは一筆であったことからA土地に準じて計算し1140万円である。
課税事務においては土地の時価を評価することは困難であることから相続税評価額をもって時価として課税する。
結論

本件土地の売買価格と相続税評価額は開差があり、低額譲渡である。

判断理由

・所得税法についての解釈とは低額譲渡は当てはまらない。
・実勢価格、譲受の事情等を考慮し、形式的には売買であるが、実質的には贈与であることから贈与税の課税となった。
追記
・本件判例は相続税評価の2分の1程度の譲渡は低額譲渡であると示している。
・本件判例は事情の異なる事例ごとに、個々に低額譲渡は適用の可否を判断すべきと示している。
(親族間の取引にあたっては、「著しく低い価額」でないことを第三者に明確に説明できる資料を整えておくことが重要である。)
※わかりやすくするために省略しております。詳しく知りたい場合は裁判の事例を検索ください

判例3.調停解決で借地人が底地を購入したが、低額譲渡と判定された事例(平12.6.29裁決 裁事59.226)

事例の概要
借地人(A)が調停の成立に基づき、地主さん(B)の相続人(C)に400万円の解決金を支払って底地(貸宅地)を取得しました。
Aは昭和48年にBさんとの土地の賃貸借契約を行い、自宅を建てました。Aさんは地代を支払い続けております。
CさんからAさんへ底地(貸宅地)の譲渡がなされました。
課税庁は、本件底地(貸宅地)を1300万円とし、低額譲渡であり400万円と差額をCからAへの贈与とみなしました。
Aは決定処分の取り消しをもとめ裁判を行いました。
Aの主張
家庭裁判所の調停の場で、Cから本件土地を買い取るように申し出を受け、交渉の結果、400万円で購入しました。
当事者の話し合いと調停員が取り決めた金額です。
親族以外の第三者の取引であるのに、低額譲渡はおかしい。
課税庁の主張
家庭裁判所の調停は、紛争を解決する場であり、解決金の額は土地の時価を表すものでない。
低額譲渡は親族に限定していない。
結論

調停の場で示された価格が時価と異なる場合には、土地(底地)の時価に基づいて本件規定の適用が判断されるべきである。

判断理由

・調停の場の解決金額は時価ではない。
・課税庁の周辺類似の基準地の価格に国税庁の借地権割合を掛けて求める方法は手堅い方法のひとつである
・土地は名義は違えど、地主(C)には土地は借地人(A)のものだという認識があり、親族であるという認識に基づいて低廉な価格で合意したと認められる。
・低額譲渡は親族間にのみ適用されるというとはしていない。
※わかりやすくするために省略しております。詳しく知りたい場合は裁判の事例を検索ください

判例4.建物がついている土地だけを親族に売買して底地(貸宅地)の売買とすることはできません(平14.3.28裁決 裁事63・508)

事例の概要
父(A)所有の土地を娘(B)に底地(借地されている所有権)として売却。
土地の上には父が所有する建物がありました。
建物は本件売却の以前から娘の夫に貸し付けられておりました。
娘は本件土地の購入の後に、父に購入した土地を貸し付けました。
土地の賃貸料は固定資産税と同額で、権利金はありませんでした。
課税庁は、貸家建付地(アパート等に使われている土地)の売買であるとして低額譲渡の判定をし、時価を超える金額を贈与と認定しました。
Bは決定処分の取り消しをもとめ裁判を行いました。
Bの主張
土地の上に建物があり、父が地代を払っていることからも、底地(借地権の目的となっている土地)の売買である。
著しく低い価格とは、時価の2分の1に満たない金額であり、所有権の価格から70%相当の借地権価格を控除した底地価格(更地価格の30%)の2分の1を上回る価格であり、低額譲渡には該当しない。
課税庁の主張
売却した際に土地建物の所有者は同一であり、土地の賃貸借はなく、底地の売買とは言えない。
地代が固定資産税と同額であり、実質的には使用貸借と解するのが相当である。
建物は貸家とされていることから貸家建付地(アパート等に使われている土地)と解するべきである。
結論

底地ではなく貸家建付地として算定した価格が時価が相当であり、本件価格は著しく低い価格である。

判断理由

・売却時に父は土地と建物を所有しており、借地権は有していない。
・父は通常支払うべき権利金を支払っていない、また、地代は固定資産税と同額であり、通常支払うべき地代を支払っていないことから、使用貸借と判断すべきである。
・娘の夫は家賃を払っているから貸家とみるのが妥当である。
・貸家建付地とするならば、更地価格に借地権割合と借家権割合を考慮した評価が妥当であり、著しく低い価格の譲渡であり、本件は低額譲渡にあたるといえる。

追記
・娘と父は底地の売買と主張しているものの、底地の売買としても売買の段階で何を基準に売買価格を決めていたのかが明らかではないことから、主張に無理がある。
・判例は土地に借地権が存在するか一定の判断基準を示しております。
・「通常支払うべき権利金を支払っていないことに加え、固定資産税と同額の賃貸借料は、土地の賃貸借ではなく、使用貸借であるため、借地権はないと判断したものである。(使用貸借通達)」
※わかりやすくするために省略しております。詳しく知りたい場合は裁判の事例を検索ください

判例5.時価とはなにか。時価より単に低い価格は相続税法7条の低額譲渡に当たるのか(東京地判平19・8・23税資257・順号10763)

事例の概要
長男(A)は、平成15年12月25日に父(B)が所有する底地(貸宅地)の持分を購入した。
売買契約書によると、路線価と借地権割合から本件底地(貸宅地)の売買代金の算出根拠は次の計算式のとおりであり、1㎡あたり約27万円である。
本件、底地(貸宅地)は、Bが第三者から平成13年8月23日に1㎡あたり約51万円で購入したものである。
同日に同族会社(C)が建物を第三者から購入しました。
その後、Aは、本件土地を相続税評価額の6%相当額の地代により、Cに賃貸しており権利金の授受は行われていない。
BはAへの売却により1億1,611万円の譲渡損が生じたとして、確定申告を行った。
課税庁はAに対して、相続税法7条の低額譲渡に該当するとして平成15年分の贈与税を課した。
Aは処分の取り消しを求めて裁判を行った。
Aの主張
課税実務上の取り扱いを前提とすると時価とは相続税評価額をいい、本件は低額譲渡ではない。
課税庁の主張
地価が安定していたり上昇している場合には、相続税評価額が地価公示価格の8割である開差に着目し、贈与税の負担を免れるために行った贈与と同様の経済的利益の移転を行うことが可能となる。これは税負担の公平の見地から相当でない。
結論

相続税評価額を対価とする土地の譲渡は、原則として「著しく低い価額」の対価による譲渡とはいえないから、本件規定の適用はない。

判断理由
・時価とは何か。相続税評価額は時価なのか。

相続税法22条の時価と同じく、客観的な交換価値と解すべきである。
相続税法22条の時価を相続税評価額と同視する必要はない。
著しく低い価額の反対解釈として単に「低い価額」での譲渡は課税しないと解釈すべきである。
税負担公平の観点から見逃せないほど時価と、かい離した場合に限って課税すると解釈すべきである。
著しく低い価額の対価とは経済合理性がないことが明らかなものと解される。
その判定は不動産の種類、性質、取引価格の決まり方、取引の実績に応じて行うべきである。

相続税評価額(路線価)が地価公示の80%という割合は、社会通念上、著しく低い価額とは見られていない。
例外として、何らかの事情で相続税評価額が時価の80%よりも低くなっており、それらが明らかになっている場合に限って「著しく低い価額」の対価による譲渡になり得る。

追記
・個人間取引であっても、相続税評価額=取引金額でよいかどうかは種々の見解があり、本判決の結論を一律に適用できるものではないと考えられる。
・実務上は個別に慎重な検討が必要となると思われる。

※わかりやすくするために省略しております。詳しく知りたい場合は裁判の事例を検索ください

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